新潟県の石では、佐渡の赤玉石が全国的に有名である。赤玉石は、硬度6ともいわれる硬質のチャートで、赤味が強く、その光沢には他に類を見ない秀品である。庭の飾石や水石に愛好されるが、現在では産出をみなく、非常に高価である。佐渡の名石と呼ばれる石としては、他に五色瑪瑙と温石がある。
花崗岩には安田町から、安田みかげが産出する。塊状の原石が多く、石積に適している。加工品としては、山灯籠、飛石、水鉢などが主である。
庭石としては、阿賀野川の支流で村松町附近から川内石が産する。青黒色の形の良い川石が庭石として採石され、県内の庭園には多く使用されている。現在では、良質の石が少ない。 また阿賀野川上流から産する赤石を、会津赤石と称して景石に使用している。
佐渡赤玉石
川内石
会津赤石
安田みかげ
富山県の石には、花崗岩、安山岩、大理石などが産出するが、大規模な採掘は見られなくなり、地域需要を満たす小規模の産地がわずかにある。
花崗岩では、魚津市から片貝石が産し、建築材として利用される。また、黒部川の川筋からは、黒部みかげを産し、土木材として利用が多い。
安山岩としては、黒部川流域から産する鹿熊石がある。その切截面は特有の模様があって、建築の張石として利用価値がある。大理石では、かつて国会議事堂にも用いられ、日本でも特殊な大理石とされているオニックスが、宇奈月町から産する。現在では、その需要も少なく、加工用の素材として少量の産をみるにすぎない。
片貝みかげ
黒部みかげ
鹿熊石
石川県の石では、金沢市の戸室山から産する戸室石がある。
戸室石は花崗岩で、青と赤系の色を持ち、金沢状の石垣や兼六園にある雁行端もこの石です。
凝灰岩では、小松市から産する良質の日華石と滝ヶ原石がある。日華石は黄色が強く、明るい感じの石で、住宅の石塀として県内で多く使われている。滝ヶ原石は白色の石で、石塀や石積みなどに使われ、富山や福井にも販路を持っている。他に、帝国ホテルに使われた蜂の巣石や、金沢ヘルスセンターに使った小木石がある。庭石には羽昨市の芝垣海岸産する滝石が有名である。表面が亀裂模様で、兼六園をはじめ全国的に知られる名石である。他に、戸室石、福良石、滝坂石がありいずれも兼六園に使われている。
戸室石
滝石
滝ヶ原石
日華石
福井県は、昔から越前青石とか福井石と呼ばれる笏谷石が有名である。
この石は福井市の足羽山から産する凝灰岩で、建築、土木、石造工芸塔の広い用途を持っている。笏谷石の歴史は古く、その起源はおよそ1270年前と推定され、日野川、足羽川、九頭竜川の河川改修工事のために開発されたのが始まりである。
そして、もっとも盛んな大正時代には、従業員が1,000人に達し年産150,000tの切石を産出したといわれる。
兼六園の石橋や欄干、そして、金沢城の鯱の彫刻等が笏谷石を用いている。また、凝灰岩には郭石と称する上野石と、別畑石がある。
笏谷石
別畑石
山梨県の石では、塩山市の東北部一帯から産する甲州みかげが有名である。
明治36年の中央線開通を期として開発され、今では関東第二の花崗岩産地として発展をとげている。また笹子峠に近い初鹿野駅周辺には、酸化鉄を含む茶褐色の花崗岩の転石が多く産出し、この石が京都の鞍馬石と同じように庭園村に適していることから、甲州鞍馬石とか新鞍馬の名称で開発されてきた。その品質は京都の鞍馬石には及ばないが、首都圏に近いことから需要が多く、灯籠や飛石、水鉢、橋石等に使用されている。最近では採掘が困難となり、良質の野面石が少なく、加工品が多くなっている。
安山岩は、石和から甲府市一帯にかけて産地がある。なかでも1200年の歴史をもつ山崎石と、現産量の多い片山石が著名で、いずれも本小松石に似た良質の石村であるため、墓石としての需要が多く、関東一円にその販路をもっている。
庭石としては、白鳳石、硯山五色、八峰石、富士熔岩等が著名である。産地はいずれも県有地で林業事務所が管理しており、計画的に採石販売が行われていたが、今は、採石を中止している。
甲州みかげ
甲州鞍馬石
片山石
白鳳石
硯山五色石
富士黒ぼく
長野県の石では、鉄平石が全国的に有名である。
この鉄平石は板状節理に富んだ長野県特産の輝石安山岩で、諏訪市の福沢山や人相山から採掘されるものが量も多く代表的な産地である。また佐久町からも良質の佐久鉄平が産する。鉄平石の利用を歴史的にみると、当初は庭園の飛石や敷石に使用され、次いで屋根村、地下ケーブルの蓋石、そして建築、造園等の装飾村として推移してきている。
加工材としては、佐久町から産する安山岩の佐久石がある。大正末期には大きく発展したが、現在は県下の需要を満す産量である。
凝灰岩には、松代町から柴石が産し、昔から土木材として多く使用されている。庭石には、伊那の赤石が見事であるが、今では幻の石となっている。
佐久石
芝石
鉄平石
黒光真石
岐阜県の石では、昔から県の東南部にあたる恵那郡地方が花崗岩の主産地であり、多くの丁場が散財していた。
現在では、蛭川村の蛭川みかげがもっとも盛んです。蛭川みかげは名古屋や京都の敷道用敷石として多く産出したのがはじまりで、産量も多く、現在に至っています。
庭石としては、全国的に有名な揖斐石がある。
あと、国歌「君が代」に歌われているさざれ石があります。石灰岩が雨水で溶解して乳液状になったものが、次第に小石を凝結して大小さまざまの石を含んだ石になります。
現在は、県指定の天然記念物に指定されており、採取禁止になっています
花崗岩の庭石として木曽石があります関東では筑波石の代用として多く利用されています。
揖斐石
赤坂大理石
木曽石
蛭川みかげ
さざれ石
静岡県の石は、伊豆半島一帯に良質の安山岩、凝灰岩、砂岩を産出し、東京を中心とした大需要と、海運による便のよさから、伊豆石と呼ばれて昔から多くの石材を搬出してきた。文献から過去の産地を調べてみると、およそ90カ所に及ぶ丁場が存在しており、いかに石材業が反映していたかが理解される。
しかし、交通の発達と他県の石材開発にともなって、多くの産地は敗残となった。現存する石材としては、緑色凝灰岩で伊豆長岡町から産する長岡青石と、韮山町から産する新興の若草石が有名である。庭石には伊豆石、伊豆黒ぼく、六方石、天城抗火石塔が有名である。
六方石
長岡青石
若草石
天竜石
伊豆石
伊豆黒ボク
愛知県は、三州みかげという名で有名な岡崎御影がある。
今から千年も前から石彫刻が売られていたといわれ、岡崎城の構築を期に大きな発展をしてきた。
現在では、岡崎市内には大規模な石材工業団地が二カ所設置され、伝統的な岡崎灯籠をはじめ各種石造物がさかんに制作された。
藤岡みかげ
挙母(うんも)みかげ
大川みかげ
花沢みかげ
鍋田(なべた)みかげ
宇寿(うず)石